はだかの王子さま
 そして、まだ、わたしが見ているのに焦ってか。

 子ネズミゴブリンが、蓋を良く見もせずにガラスの小箱を抱えて、宙返りをくるん、とキメた。

 ……んだけども。

 わたしの目の前に出現したのは、いつもの見慣れたウェッジ・ウッズの砂糖壷と。

 ……その、周辺にころろん、と落ちた、角砂糖、数個。

「うん。
 蓋が緩んだまま、宙返りしたから、落ちちゃったんだね」

『うっきっきゅ!』

 砂糖壺は、もう一度変身を解いて、自分でこぼした砂糖を拾おうか。

 このまま、ただの陶器として転がった砂糖を無視しようか、迷ってるみたいに、鳴いた。

 それでも、自分の仕事はちゃんとしようと思ったみたいだ。

 また、軽くぽんっと音が鳴って、砂糖壺から、手と足が生え、こぼれた角砂糖を拾おうと手を伸ばす。

 けれども。

 う~~ん、惜しい!

 生えた手が短くて、砂糖に届かない。

 短い手をぴこぴこっと振って、角砂糖に触ろうとするんだけど、あとちょっとでかすりそうなぐらいで、無理だ。

 しかも。

 いっぱいに短い手を伸ばしてるもんだから、今にも倒れそうで……

 あっ!

 危ない!!
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