はだかの王子さま
 案の定。

 砂糖壷は、ぐらりと、大きく揺れた。

 そして、そのまま、ぺけっ、と……わ……わわわっ!

 倒れそう!

 わたし、思わず、手を出して、砂糖壷を支えちゃった!

 と。

 一瞬、ひゃっ、と陶器のような冷たい感触はしたものの、さわり心地が、毛皮みたい。

 だから、お化けの親戚みたいな、砂糖壷を放り投げなくて済んだんだ。

 砂糖壷の方は、わたしに触られてびっくりしたらしい。

 逃げ出すことも出来ずに、そのまま固まったのをいいことに。

 わたしは、砂糖壷をまっすぐに立てなおすと、散らばった砂糖を中に戻してみた。

「ぜ……ぜんぶ片付けたから、大丈夫、よ?」

『うきゅっ!』

 砂糖壷は、わたしの声に一瞬飛び上がると、まるで確認するかのようにくるりと一周回って、嬉しそうな声を上げた。

『あ…り…が…トー♪
 王さまのヴェリネルラ。
 ヴェリネルラ、キレイだけじゃなイ。
 優しい、ネ?』



 ……は?


 いやいや。


「別に、わたし、キレイじゃないし。
 改めて言われるほど、優しくないし!」

 なんて、ヒトの話なんて、聞いちゃいない。

 なんだか、嬉しそうな砂糖壷さんに、わたしは、別な質問をした。
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