はだかの王子さま
 ばっ!

 と。

 振り返った先にいたのは、いつも見慣れた、お父さん。

 けれども。

 やあ、と手を振るクセが。

「……賢介」

「そ、当たり。
 やっぱり、すぐわかっちゃった?」

 そりゃあ、ね。

 今『変わってくる』って皆二階に上がっちゃったから。

 でも、いきなりだったら、きっとこんなにすぐには、判らない。

 どっから、どう見ても、いつものつなぎを着て、後ろの髪をくくったお父さん、だ。

「こんなに早く、そっくりに変われるなんて!」

 びっくりするわたしに、お父さんの顔をした賢介がにこっと笑った。

「一応、こっちの方が本業だったりするから」

「忍者のシャドゥ・スパイダー?」

「そう。
 真衣には、内緒にしてたけどな」

 頭をがしがし掻こうとして、髪をくくったゴムに引っ掛かり。

 慌てて、乱れたヘアスタイルを直す賢介を見てると、頼もしいんだか、情けないんだか、今一つ良く判らない。

「ねぇ。
 実は、お父さんも王さまになる権利、あるの?
 狙われたりして、危ない……の?」

 心配になったわたしに、賢介が、お父さんなら絶対しない仕草で、肩をすくめた。
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