はだかの王子さま
 何にも知らず、ただ笑っているウチに、二階から、降りて来る気配がする。

 やがて、ガチャリ、とリビングの扉を開ける音に振り返れば、そこに、星羅が立っていた。

 でも。

「……真衣」

 星羅に呼びかけられて、首をかしげる。

「お父さん?」

「正解だ」

 わたしの頭に、手をのっけて、くしゃっと撫でることなんて、星羅はしない。

 それでも、事前に教えて貰わなければ、絶対わからない。

 何をどうやったんだろう?

 お見事! な化けっぷりに感心していると、お父さんは、真面目な顔をして、賢介に話しかけた。

「桜路は、あと三十分は起きてこられない。
 その間に、こっちはこっちで、調整しよう」

 ……起きてこられない、って所にすご~~く引っかかりを感じたけれど。

 お父さんも、賢介も、特に何も騒がないので、わたしだけが騒ぐのも恥ずかしく、父さんたちの話を横で聞いていた。

「……入れ替わりで、まず問題になるのは『0(ゼロ)』だろうな。
 この剣は、主を選ぶ上に、二つとない魔剣だからな。
 お前に抜けなくても、鞘ごとでも持てれば、それだけでかなり。
 フェアリーランドでは、違和感が無くなるんだが……」

 星羅の顔をしたお父さんは、腰に下げていた幅広の剣を鞘と吊っているベルトごと外して、賢介に渡しながら言った。

「とりあえず、持ってみ……うぉ」

 お父さんが、手を放した途端だった。
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