はだかの王子さま
 幅広の剣は、ふわっと浮いたか、と思うと。

 お父さんの姿をした賢介の手をかいくぐり、すちゃっと、本物のお父さんの腰に下がる。

 ベルトまで、自動的に締まり、かすかにゆれるあたり『どこにも行きませんからね!』と自己主張しているみたいだ。

「無理のようですね……」

「……だな」

 情けなさそうに呟く賢介に、肩をすくめ。

 お父さんは、今度は腰の剣をすらり、と抜いてささやいた。

「0、キッチンナイフ」

 すると今度は。

 まるで、テレビで見た氷河のように、光の角度によって青く見える白い刃だけが、柄からぽろっと外れた。

 そして、何だかものすごい、ごっつい刃が、いつも見慣れたウチの包丁にかわる。

 床に転がった、安物の包丁に見えるそれをお父さんは拾い、ざっと洗って食器籠に放り込むと、抜け殻になった鞘と柄をつなげ、もう一度ベルトをはずした。

「本当は、近くにあった方が気が楽なんだが、仕方ない。
 擬態のことは、大抵のヤツが知ってるし。
 『桜路』が腰に下げて歩くわけにはいかんからな。
 『0』は、置いてゆく。
 真衣は、包丁に触るなよ?」

「う……うん」
 
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