はだかの王子さま
「わ~~い、ふわふわ星羅だ!」

 リビングに入って来た星羅を見て、わたしは、嬉しくなって、声を上げた。

 てっきり、超イケメンの人間星羅が、入って来るのかと思ったら!

 今まで、地下迷宮で見慣れた、ニ本足で歩く半分狼の星羅が入って来たんだ。

 お父さんの持っているシャツとズボンのうち、一番大きいサイズの服を少し窮屈そうに着た、金色の狼が入口で、両手を広げてる。

 この姿なら、何の気兼ねもないよ。

 わたしは、星羅の琥珀いろした瞳をまっすぐ見つめて飛びついた。

「おっ……と、とととっ!」

 いつもなら、どんなに勢いよく飛びついても、わたしをしっかりと抱きとめて、びくともしない星羅が、二、三歩よろめいて、たたらを踏んだ。

「きゃーーっ、星羅、大丈夫?」

 わたし、そんなに重くなっちゃったのかしら……?

 びっくりして、顔を覗き込んだわたしに、狼星羅は、片目をばちん、とつぶった。

「大丈夫~~ ちょっと、驚いただけだよ」

「その格好で、降りて来たの?
 人間の姿じゃないと、意味なくない?」

 声の調子も、しゃべり方も、短い間でぐっと星羅本人に近づいたお父さんに指摘されて、星羅は、あははは、と笑った。


 
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