はだかの王子さま
「ん~~気分かな~~?
 ヒューマンタイプだと、真衣が抱きついてくれないからね。
 せっかく二人でいられるのに、真衣が固まったままだと寂しいし」

 うぁ……星羅に気を使わせちゃった……!

 でも!

 でもっ……それ、なかなか治らないのは事実で……!

 キレイな星羅より、今の姿の方が、いいなぁ。

「ごめん……ね?」

 思わず、上目遣いになっちゃったわたしを、星羅は、ふわり、と抱きしめた。

「いいよ、大丈夫。
 時間は一杯あるから、ゆっくり慣れていこうよ」

 うん!

 そうだよね。

 わたしの誕生日まで、ずっと星羅と一緒だもん。

 ちょっとづつでも、見慣れていけばきっと……!

 狼の顔のまま、にこっと笑う星羅に、私のこころも、ほっとほどけたけれど。

 星羅の顔をしたお父さんが少し硬い声で、星羅にささやいているのを聞いちゃった。

「ねぇ、桜路。
『傷』で力が出ない、なんてことはない?
 もしかして『跡』が目立たないように獣の姿で降りて来た?」


 傷跡!?


 星羅、どっか怪我してたっけ……!
 
< 126 / 440 >

この作品をシェア

pagetop