はだかの王子さま
 大声が出ている先は……やっぱり包丁、らしい。

 恐る恐る、手に持っている0を確認するために、刃をリンゴから外して見れば、そこに。

 ぼう、と顔が浮き上がっていた。

 まるで、夏休みの心霊写真特集にのっているみたいな、力一杯の幽霊顔~~!

 最悪な言葉遣いさえなければ、美人な女のヒトにも見えるかもしれなくても。

 整ったイケメンな顔だって、お化けは、お化けよ!

「……っ!」

 人間……って、わたしの場合、厳密には違うらしいけど!

 本当に驚くと、声も出ないもんらしい。

 冷静に考えたら、さっさと投げ捨ればいいのに、却って、柄を握りしめちゃったまま。

 浮かび上がった顔を見つめて、固まってしまったわたしに、菜っ切り包丁が、咆える。

『へたくそ!
 てめーが、フルメタル・ファングのヴェリネルラじゃなかったら!
 左手の指全部なくなってるぞ、コラ!
 俺様は、慎重に取り扱え!』

「……へっ?」

 自分のコトを『俺様』なんて、普通、言う!?

 言葉づかいはとんでもなく悪いけれど、声がなんとなく暖かい。
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