はだかの王子さま
「お父さん……そんなコト言ったんだ……」

 やっぱり優しいなぁ。

「0さんも、剣だけど、切りたくないモノがあるんだね?」

『当たり前じゃねぇか!
 キレイに咲いている花を、意味もなく切り捨てるのは、趣味じゃねぇ。
 俺様が、ただ、動かずに立っているだけなのに。
 間違って刃の上に止まってしまった蝶は。
 その軽い自重だけで、半身に裂かれて死んでゆくんだ!
 この気持ちが、判るか!?』

 0は咆えるように叫んだ。

『俺様は良識ある刃物だからな!
 無駄に、モノを破壊する事も、生きてるモノの命を断つことも大嫌いだ!
 なのに!
 切れ味だけを追求するクソ共は、俺様を所有した途端。
 この刃に、己のクソ汚たねぇ真実の姿を映しては、敵や邪魔なものだけでなく、大切なモノまで切り裂いて自滅しやがる』

 嫌なコトを思い出したのか。

 0はふんっと鼻を鳴らした。

『それでも、フルメタル・ファングの莫迦は。
 自分は兵士でも暗殺者でもなく『門番』だから、外からやって来る敵から、中を守り。
 勝手に出て行こうとするヤツを引きとめられれば、それで良いってよ。
 めったに、俺様を使わねぇ』

 フルメタル・ファングは、ビッグ・ワールドで五本の指に入る剣の使い手、といっても言い過ぎではなく。

 挙句に『0』の所有者になって以降。

 一対一の対決ならば、無敵、と言って良いくせに、普段はその強さを、誇示することもない。

 と、0は言う。
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