はだかの王子さま
『たまに、出番がある、と思えばキャベツの千切りに、きゅうりの小口切りと来た!
切れ味が違うと、味が違うんだとさ。
当たり前だろ! この俺様が切ってるんだから!
でも、普通。
そんなもん切るなら、俺様なんぞ使わんでも、そこらの安物で十分だろ?
俺様もずいぶん長く生きてるが。
実際に『伝説の魔剣』である俺様を料理に使った莫迦は、フルメタル・ファングが初めてだ』
何だか、文句を言ってる割には泣きそうな声の0に、わたしの胸も、きゅぅ、と締め付けられる。
「そっか、0さん。本当はそんなのが、切りたかったんだね」
だから、0、ウチで菜っ切り包丁してるんだ。
そして、お父さんが、所有者じゃないと嫌なんだ。
それじゃ、わたしは……?
0は、リンゴの皮むきの続きをさせてくれるかな?
「あの……わたし、どうしても。
リンゴをむいて、星羅にあげたいんだけど……最後まで使わせてくれる、かな?」
『ゼギアスフェルのために?』
恐る恐る聞いたわたしに、0は星羅の本名を嫌そうにつぶやいた。
『俺様、アイツ嫌い。
どうせ、今も獣の姿で寝てるんだろ?
リンゴが欲しけりゃ皮をむく、なんて上品なことしなくても、そのままぽいっと食わせれば良いじゃねぇか』