はだかの王子さま
 星羅は、今、熱が出てるのに!

 リンゴを丸ごとなんて、そんな乱暴なコト、出来ないわよ!

「なんで、そんなコト言うのよ!
 ケチ、ね!
 相手はリンゴで、もう少しで終わるのに、なんで協力してくれないのよ。
 そんなに、星羅のコトが嫌いなの?」

『嫌い。
 俺様みたいな、切れる刃物が、てめーにかすり傷一つ負わさないようにどれだけ苦労したと思ってるんだ。
 あんなヤツのためにむくリンゴなら、手伝わねぇぜ』

「……ウソ」

 フェアリーランドの王子様なのに。

 ゴブリン達は、星羅のコト好きだと言ったのに。

 少し天然が入ってるけど、いつもご機嫌に笑っている、金色狼の仕立て屋さんだ。

 白薔薇宮殿の主の星羅を、こんなにはっきり嫌いって言うのに初めて会った。

 ……悲しいなぁ。

 そんな。

 一抜けた、と食器かごに帰りかけた0を握って引きとめ、聞いてみる。

「0さんは、星羅のドコが気に入らないの!?」

『全部』

「……え?」

『あの、王族のくせに、重厚さの欠片もない軽薄な色の毛皮も。
 ヒューマン・アウトした、軟弱でちゃらちゃらした男の姿も。
 頭の先から、尻尾の先まで、全部嫌いだ、コラ。
 だが、一番嫌いなところは。
 フルメタル・ファングを差し置いて。
 てめーのコトを『ヴェリネルラ』(我が身より愛しい)と呼びやがるところだ!!!』
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