はだかの王子さま
「僕が知っている限り、フルメタル・ファングが愛した女は、たった一人だけだったよ。
 残念ながら、それは君の母君のダリアじゃないけどね」

 そう、まるで。

 目の前にいる美有希ではなく、わたしに聞かせるように星羅は話してくれた。

 フルメタル・ファングは『優しい』けれど『弱い』ヤツじゃないって。

『家』の事情で本当に愛した女に手が届かなくても、彼は、他の女に逃げる事はない。

 どんなに酒に酔おうとも。

 相手が『書類上の』とはいえ、自分の正妻だろうとも。

 思い人以外には指一本、誰の肌にも触れないだろうねって!

「真衣は、もしかしたら、一夜の過ちで出来た子なのかもしれないけれども。
 彼が『自分の娘』だと言っている以上。
 それ以外、何者でも無いはずだ」

 そんな風にフルメタル・ファングの……お父さんのコトをフォローする星羅の話を聞いて。

 わたしと星羅の間に、割り込むように立つ。

 ちらりと見えた美有希の顔色は、青ざめているようだった。

「それでも、わたくしは!
 フルメタル・ファングの娘だと認められて、次代の当主と門番になるのですわ!
 そして、あなたの婚約者です!
 わたくしと一緒に来ていただきますわ!」

「いやだね。
 今、何が起きているのか、とても興味あるけど。
 僕には、もう、好きな子がいるのに。
 君と一緒に公の場所に出て行ったら、僕の意志を無視して君と『婚約式』とか言われそうだし」
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