はだかの王子さま
 美有希の誘いをあっさり断って、星羅は肩をすくめた。

「あくまで、君だけがフルメタル・ファングの子で、それを根拠に僕を縛ろうと言うのなら。
 僕だって、抵抗してみせるよ?
 君は、君の味方に支持されて、その身分を手に入れたんでしょう?
 ヒトは、自身の利益で事実を曲げようとするけれども、事実にウソなんてつけないんだよ。
 フルメタル・ファングは、自分の血の力だけで、フェアリーランドの地下にある扉の鍵を六つ開くことが出来ると言ったけれども、君はどうかな?
 もし、万が一自分が死ぬことになったとしたら、最後の鍵も真衣が開く、と言ってたし、ね?」

 そこまで言って、星羅はゆっくりと息をついた。

「フルメタル・ファングの正式な娘と言い張る、ローザよ。
 そなたは、自分の血で、たった一つでも鍵を開けることが、できるのか?」

 まるで。童話に出てくる王子さま、みたい。

 逆らえないような、そんな口調を変えた星羅の言葉に、美有希は、震える手で、ヴェリネルラのドレスの縁を握りしめた。

「わ……わたくしは……!」

「その身を飾るドレスさえ、そなたがまとえば、不快だ。
 我のことは、早(と)く忘れ。
 一人で帰って着替えたまえ」

 うわ、きっつ……!

 普段、聞いたことのない星羅の口調と、声だった。

 
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