はだかの王子さま
 これは。

 ……美有希に自分は望みがないから、諦めろってはっきり言ったのは、星羅の優しさ……なんだ。

 中途半端に、望みをつなげて不安と心配にココロが押しつぶされそうになるより。

 あっさり振ってくれた方が、楽だ。

 そんなこと、わかっているのに。

 言われているヒト、わたしじゃないのに。

 そして、何より。

 これは、わたしのために、美有希を遠ざけて、くれた言葉なのに。

 美有希と一緒に震えそうになった。

 わたしなら……多分。

 同じことを星羅に言われたら、耐えられない。

 絶対、泣いちゃって何もできない……って思う。

 けれども。

 わざと冷たく突き放す星羅に、美有希は毅然(きぜん)と顔を上げた。

「このドレスを着替えさせたいのなら。
 わたくしの寝所で、あなたが脱がせればいいのだわ」

「ローザ」

 まるで、言うことの聞かない子どもをたしなめるように。

 低い声を出す星羅をきりり、と睨む、美有希の横顔が見えた。

「王子さまが、ご自分から来て下さらないのなら。わたくしが連れてゆきましょう……無理にでも!」

 そう、美有希が裏返りかけた声で宣言し、叫んだ。



『シャドゥ・ハンド!!!』



 メキッ! ドゴッ!!


 え?


 何だかものすごい音は、星羅の後ろの壁の方から!?
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