はだかの王子さま
 呼べば返事する、見慣れたデッキブラシと、砂糖壷は、ウチのゴブリンさんたちだったんだ……!

『わたしを助けに来てくれたの?』

『ぴぎゅ!』

 質問にデッキブラシ君はきりっと応え、足もとにいる賢介のお母さんに怒鳴った。

『おれ、マスター・ファングの居場所なら判る!
 ヴェリネルラ、つれてく!
 あんた、足止め!!』

『ちょっと!
 あなた、フルメタル家のゴブリンでしょう!?
 自分だけならともかく、ヒト一人なんて抱えて飛べるの!?』

 偽救急隊員と、飛び交う筆記用具の相手をしながら賢介のお母さんか、叫ぶ。

『飛べる!
 飛べなくても、飛ぶ!!
 ヴェリネルラ、オンジン!
 必ず、連れてく!!』


 ええっ!

 ちょっと待ってよ!!


『オンジン……?
 恩人!?
 わたし、デッキブラシ君に何かした!?』

 驚いているわたしに、空飛ぶデッキブラシは、ぴぎゅぎゅっと笑った。

『ワルプルギスのよ~~る~~!
 ヴェリネルラ、おれ、かわいいって言ってくれた!!』

『ちょっと待ってよ!
 たった、そんなことで……!』

 慌てたわたしに、賢介のお母さんは、あははははって笑った。

『良かったわね、ゴブリン!
 じゃあ、頑張って飛んで行きなさい!』

「おばさん……!」

「いいのよ、真衣ちゃん!
 ゴブリン、とっても嬉しそうよ?
 ビッグ・ワールドの価値観ってね、こっちと少し変わってるのよ。
 かわいいとか、キレイとか、美しいっていう外見の褒め言葉には、こっち側よりもっと大きな意味があるの。
 一番の誇りだったり、勲章なのよ?
 真衣ちゃんの性格からして、ウソやお世辞じゃなく。
 心からゴブリンをかわいいって言ったんでしょう?
 それは、フェアリーランドに送ってもらっても良いぐらいのことだわ」
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