はだかの王子さま
 ましてや、ジェットコースターの座席代わりなんて!!

 ハンドに投げ飛ばされて痛むカラダを預けるのは、どっかのホームセンターで普通に売ってるような、ただのデッキブラシなんだもん!

 本当は、ゴブリンだとしても、掴んだ感覚は、華奢(きゃしゃ)な棒一本。

 そんなのに、必死にしがみついた。

『がんばレ~~ぴぎゅゅ~~
 しっカり~~ヴェリネルラ~~』

 デッキブラシの先に、自分の取っ手を引っかけた砂糖壺さんも応援してくれてる。

 なんとなく、力の抜ける声だったけど、励まされると嬉しい。

 わたしは、独りぼっちじゃないって判るから。

 何だかよく判らないことが一杯起きてるけど、皆と一緒に乗り越えられる。



 たぶん、きっと!



 頑張る印の拳(こぶし)の代わりにデッキブラシの柄を握りしめ。

 ようやく、デッキブラシの飛行速度に慣れて来た頃。

 そっと覗いた地上は、いつの間にか住宅街が終わり、陸の岸と人工島をつなぐ橋の近くまで来ていた。

 その様子を見て、目を見張る。

 キングダムリゾートは、一般車両の通行禁止だ。

 遊びに来たお客さんは、橋の入り口近くにある駐車場に車を止めて、人工島を一周するバスや電車。

 もしくは、フェアリーランドへ直通する世界最速、最長の動く歩道の上に乗ることになってる。

 だから普段は。

 橋の入り口に車が列を作っているハズは無いんだけど!

 今一瞬、足下に見えた光景は、違った。

 横にテレビ局のロゴが入ったトラックや、タクシーが入り口を取り囲んでいるんだ!
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