はだかの王子さま
『ぎゅぎゅぎゅ~~おれ、だいじょう~~ぶ。
 うきゅきゅにも手伝ってもらってるし……
 でもこっち、ちょっとグラウェ濃すぎ……』

 大丈夫じゃないじゃん!

 デッキブラシ君、もう、飛べないんだ……!!

『ぴぎゅぎゅ!!』

 砂糖壺が必死に叫んでるのが、聞こえているのか、どうか。

 デッキブラシが、落ちてゆく……!

 そう言えば、こっちの世界に濃く存在する、グラウェって!

 なんにでも使える万能エネルギーだけど、下手に使うと体調を崩すって……誰か、言って無かった?

 ここ何年か体調が良くない賢介のお母さんも、これ以上、こっち側に留まっていると、危ないって……!

 グラウェの影響を受けにくい、ゴブリンが自分で空に浮かぶだけなら、問題ないって聞いた気がするけど、じゃあ。

 わたしを抱えて、飛んだら……!?

 それでも、大丈夫だって言えるの!?

『デッキブラシ君! も、わたし大丈夫だから!! どっかに降りて!』

『ぎゅぎゅっ!
 でも、マスター・ファングもう、すぐそこ!
 目の前……!』

 そんなコト言ったって!!

 デッキブラシは、わたしに怪我をさせないように。

 最後の力を振り絞るようにして、がんばって空に浮いてる。

 このまま、ほっといたら、デッキブラシ君、死んじゃうかもしれない!!

 ゴブリンが空を飛ぶ、一分……ううん、一秒が怖かった。
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