はだかの王子さま
 首を振ったわたしに砂糖壷さんは、もう一度、うきゅっと鳴いた。

『じゃ、も一つ質問♪
 ゼギアスフェルさまたちが悪いヒトってウワサ聞いたら、ヴェリネルラどうすル?
 すぐ、キライになル?』

『まさか!
 本当にそう、ならともかく!
 よくわかんない噂聞いただけで、キライになるワケ無いじゃない!』

 思わず叫んだわたしに、砂糖壷さんは、ねずみの顔でにこっと笑う。

『なら、そのまま、自分の知ってる二人を信じヨ。
 でも、まだ心配なラ。
 二人に、ちゃんと聞けばイイ』

 言って、砂糖壷さんは、ぽん、と自分のカラダをゆする。

 すると、壷のフタが勢い良く開き、中から角砂糖が飛び出した。

 それをまた、砂糖壷の横から出て来た短い手が、上手くキャッチして、わたしに向かって差し出した。

『お腹がへると悲しい気持ちになるのは、ヒトもゴブリンも同ジ?
 だから、あげル。
 元気出して、ネ?』

『……砂糖壷さん……』

 砂糖壷さんからもらった角砂糖を、ぱくっと食べれば。

 とても優しい甘さが、ささくれ立った心にしみる。

 その甘さが、へとへとに疲れたカラダと心をほっと暖めた。

 高い、高い塔の上。

 状況は、やっぱり最悪だったけど、少しだけ元気が、出た。

 うん、そうだね。

 何はともあれ、早くお父さんに会わないと。

 星羅も、助けださないと。

 全部は、それから、だよね?






 
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