はだかの王子さま
 ……なんて。

 少しは、元気が出たはずなのに。

 お腹が減ったまま。

 ハンドに弾かれた上、デッキブラシに乗って空を飛んだのは、かなり体力的にマズかったみたい。

 どうやら、少しぼんやりしてたか、気を失うように眠ってたらしい。

 ふ……と気がつくと、どこかで話し声が聞こえた。

 誰かが。

 しかも、かなりの大人数が、案外近い所にいる気配がした。

 ざわざわ、がやがやとさざ波のように広がる声に見回せば。

 どうやら声は、わたしが背にした小窓の向こう。

 北塔の大広間から聞こえて来るみたいだった。

「痛ったたた……」

 がちがちに固まったカラダを励まして、後ろを振り返ろうとしたけれど、デッキブラシと砂糖壷は、動かない。

 きっと、デッキブラシさんはまだ眠ってて、砂糖壷さんも疲れているんだろう。

 わたしは、ゴブリン達を落とさないように身動きすると、改めて小窓の中を覗いた。

 すると。

 そこに見えた光景に、思わず叫び出しそうになった。

 だって!!

 北塔の大広間には、毛皮を着た獣や。鱗(ウロコ)や粘液のを身にまとった、魚類だか、爬虫類だかの格好をしているニ本足で歩くヒトビトと。

 中世ヨーロッパ風の服を着ているヒトたちに半円を描いて囲まれるように、立派な椅子が置いてあり。

 そこには、星羅が。

 長い脚をゆったりと伸ばし、すごく落ち着いた様子で座っていたんだもん。
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