はだかの王子さま
 わたしが戸惑っているうちに。

 彼を取り囲むヒトビトの中から、二人がかりで鏡を持って来る者たちがいた。

 鏡の大きさは、等身大の半分ほど。

 それに自分の姿を映させて、眺めれば、立派な椅子に座った人は、少し機嫌が戻ったらしい。

 彼は、満足げに鼻を鳴らすと、言った。

『……なるほど。
 我が親愛なる腹違いの弟は、噂に違わず。
 獣(けだもの)の身から世にも美しい姿を手に入れたのだな。
 我の今までの好みは、フルメタル・ファングのみだったが、そなたの姿も悪く無い。
 ……よし。
 気が向いたら、そなたの姿もたまには、使ってやろうか。
 ……のう? ゼギアスフェルよ』

『はい、お目に止まり、光栄です。
 ビッグワールド王』

 って。

 ……え?

 この、椅子に座っているのがあの。

 ヒトを追放するのが趣味の超~~わがままっていう、ビッグワールドの王さま!?

 それで、王さまに応えているヒトは……!?

 王さまの周りを良く見れば、金色に色とりどりのメッシュの入った髪が見えた。

 今度こそ星羅……!?

 ううん。

 お父さん……の方のような気がする。

 けれども、ビッグワールドの王さまは、気がつかないみたいだった。

 星羅の格好をしたお父さんのことを疑うことなく『ゼギアスフェル』って呼ぶと、ようやく。

 そもそもの不機嫌の元を思い出したように、形のいい眉をしかめた。
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