はだかの王子さま
『フルメタル家当主、ファングです。王よ』

『ほほう?』

 本当は入れ替わっているのだけど、気がついてないらしく。

 王は、お父さんの言葉に目を細める。

 一方、星羅のふりをしたお父さんは、王さまに淡々とウソの報告を始めた。

『彼は、昨日。
 突然私を襲って無理やり血液を採取したあと。
 私になりすまし、件(くだん)の騒ぎを起こしました。
 詳しいことは改めて問いただしますが、どうやら。
 私がヒトの姿を手に入れたので、今回開くフェアリーランドの扉からビッグワールドに帰り、こっちの世界には、二度と戻らないと踏んだからのようです』

 言って、お父さんは、いかにも星羅っぽく肩をすくめてみせた。

『そうなれば、フェアリーランドの責任者は自分一人となり、やりたいことは思いのまま。
 何も知らない、こっちの世界にビッグワールドの存在を見せつけて、発生する利権を全て自分の手に握る予定だったみたいです』

『ほう?
 フルメタル・ファングはそもそも、美しかった上、地位も高かったせいもあるが。
 ビッグワールドに居た時には、己の強さを追求する以外。
 外見にも、金銭にもこだわらず、何に対してもほとんど無欲だったのに、か?
 たいした変わり様ではないか?』

 王さまの言葉に、お父さんは、また肩をすくめた。

『こちら側の世界では、ビッグワールドに比べて、外見よりも貨幣にこだわる輩が多いです。
 彼は、普段。
 莫迦がつくほど真面目な男ですが、情にほだされると、トラブルを招きます。
 また、どこかの慈善団体が、資金援助を申し出て、泣き落としにでもかけたのでは、ないですか?』
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