はだかの王子さま
『常にそなたがいる?
 ほう、ずいぶんと仲良く、そして庇い立てするじゃないか?
 ゼギアスフェルよ。
 そう言えば、そなたは生まれながらに定められたフルメタル家の婚約者を『ヴェリネルラ』(我が身より愛しい)と呼んで大切にしているとか。
 この娘が、そうなのか?』

 意地悪く、目を細める王さまの声を聞いて。

 今までよどみなく質問に答えていた星羅の姿のお父さんが、初めて大きく動揺した……ような気がした。

『は……はい、ですが……』

 そのうわずった声に、気を良くしたのか。

 王さまの顔は、さらに意地悪い顔になった。

『炎狼として、身の内に燃える炎さえも氷らせる、と言われた冷酷無比のそなたが、誰かに心を奪われる日が来るとは、思わなかったぞ。
 その、深い愛情ゆえに、世にも稀な美しい姿を手に入れたと言うのなら……!
 ……面白い。全く持って面白いではないか。
 そなたは、こちら側の世界の責任者である上に、フルメタル・ファングの『友人』であったな?
 ファングがそれだけの罰を負う、というのなら。
 そなたも、それなりの罰を受けても、いいだろう?』

『王よ! まさか、それは!!』

 叫ぶ星羅姿のお父さんの声を無視して、王さまは、美有希の腕をぐい、と引いて抱きよせた。

『そなたの『ヴェリネルラ』フルメタル家当主を我に捧げよ』

『王よ!!!』

『黙れ、ゼギアスフェル。
 こんなことで取り乱すなど、見苦しい。
 今回の件について、不明な点も、矛盾点もあえて深く問わず、女一人で勘弁してやろうと言うのだ。
 破格の温情だと思わぬか?』
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