はだかの王子さま
 王さまは、それからすぐに大広間から、退席し。

 ハンドに本物の星羅と0が引っ立てられ、連れて行かれた。

 それから、集まったフェアリーランドの従業員も潮が引くようにいなくなってゆく。

 一方、わたしの方は、と言うと。

 相変わらず大広間の上にある、小さな窓に張り付いているしかなくて。

 身体中痛くて、寒くて、お腹が減ったまま、呆然としてた。

 高い塔の上に引っかかったわたしは、まだ、絶体絶命の続行中だったけれど。

 広間に大勢いた時に、誰かを呼べば良かったなんてちっとも思わなかった。

 だって、ねぇ?

 あの状況で、声がかけられるはずもない。

 今、丁度。

 大広間からヒトが減って来てるし。

 最後に出てゆくヒトに助けてもらおうと思った。

 けれども。

 お父さんがやったことのせいで、皆さんとても忙しいみたい。

 すぐに、空っぽになった大広間に焦って、誰か一人でも残っていないか、足下を見回し……困った。

 だって。

 広間に最後に残っていたの星羅の姿をしたお父さんと、美有希なんだもん!

 知らないヒトが見たら、きっと、王さまに奪われた恋人と、最後の話をしようとしているように見える。

 だから、みんな気を使って、それぞれの持ち場にさっさと出て行ったのかもしれなかった。

 今までなら、ともかく。

 変わってしまった美有希と話なんてしたくなく。

 それよりも、もっと。

 何を考えているのか判らない。

 星羅姿のままのお父さんには、声がかけ辛かった。
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