はだかの王子さま
 それでも,これ以上この高い窓に止まっているのには、体力的にとても辛く。

 ふっ……と意識が遠のきそうになって、仕方なく。

 わたしのすぐ下に居るお父さんに声をかけようとしたときだった。

 お父さんは、どさっと乱暴に大広間の床に直接胡坐をかくと。

 今まできっちり襟元まで止めていた、白地に金色の『王子様』っぽい礼服の上着をぱちぱち外し。

 これまた乱暴に、自分の膝に肘を置いて、ほおづえをついた。

『やれやれ、一仕事を終えた』ってほっとしたように見えるその感じは。

 今まで、星羅の外見だけじゃなく、雰囲気まで似せようとしていたお父さんが、素に戻ったみたいだった。

「これで、俺の出来ることは全てやったからな?
『約束』は、フルメタル家当主と門番の座をお前に渡すこと。
 そして、ゼギアスフェルを落とすために、最低一週間、誰にも邪魔されない二人きりで過ごせる静かな空間を提供すること、だったが。
 ……よかったな。
 ゼギアスフェルより大物が釣れたじゃないか。
 ビッグワールド王に今、正妻はいない。
 今夜上手くやって気に入られれば、王妃になることだって夢じゃないぞ?
 誰にも負けない権力を得たい、というのなら。
 この世の贅沢を味わってみたい、というのなら。
 王に子どもが生まれたら、どんどん王位継承権から離れてゆくゼギアスフェルより、いい物件なのは、間違いなし、だ」

 そんなお父さんの言葉に、美有希はふ……とほほ笑んだ。
 
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