はだかの王子さま
「わたくしの方の『約束』は、今後一切真衣と父上に関わりを持たないこと、でしたわね?
 たかが、そんなことの為に、まさか。
 ここまで力を貸してくださるなんて、思いもしませんでした」

 そう言って、美有希は、お父さんに向かって素直に頭を下げ、お父さんは、軽く手を振った。

「なに。
 お前の不幸の半分は、俺のせいだと自覚がある。
 俺には、俺なりの理由があってのことだったが『家』を顧(かえり)みることは出来なかった。
 お前に『親』らしいことは何一つ出来なかったし、これからもおそらく出来ないだろうからな』

 お父さんは、そう言うと、感慨深げにため息をついた。

『ファング家は、ビッグワールドでも指折りの忍びである、シャドウ家を率いている。
 当主の座は、案外面倒くさいぞ?
 見た目より地味な仕事が山積している『それ』が今すぐ、どうしても欲しいと言うのなら、やろう。
 重責とやらに押しつぶされないように、せいぜい頑張れ」

 お父さんそう言うと、苦く笑った。

「今、別の仕事でビッグワールドに返してるシャドウ家当主、スネイクはきっと。
 俺が勝手に当主を降りたと知れば怒り狂い、自分も一緒に引退するとか抜かすだろうな。
 ヤツの妻は病床にあり、息子の賢介は、一人前になるまで最低ニ、三年は、かかる。
 今回扉が開いたあと、俺は賢介との魂の契約を破棄し、師弟関係を解消するつもりだ。
 賢介の最後の仕上げを、傍流とはいえ、風の最高位。
 お前側に居るハンドが務めれば、皆が納得するんじゃないか?
 俺自身としては、お前に、当主を託すことに、異存はないし」
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