はだかの王子さま
「わたくしが、フルメタル家の総資産額を知らないとお思いですか?
 一概にこちら側の貨幣価値に換算できるモノではありませんが、それでもあなたが、危険を冒そうとしている額の何倍あると思っているんです!?
 現在の我が家に借金が全くないとは言いませんが、ささやかなものです。
 返済計画も万全で穴がない以上、それはウソです。
 しかも、あなたは。
 本来ならば、真衣に譲るはずだった『門番』の座までをわたくしにあっさりと譲りました。
 ……役立たずを承知で……なぜですか?
 あなたの血など、一滴も入ってないのに『娘だ』と主張して乗り込んで来たわたくしに恥をかかせようとした……わけではないですよね?」

「むろんだ。
 俺は、そんなに性格悪く無いぞ」

 美有希に言われて、今度は、お父さんが鼻を鳴らした。

「お前が『約束』の対価に当主の座と、門番の兼任をしたいと希望したからだろ?
 どうやら当初の予定と違い、ここで真衣も門番には向いて無いとわかったからだ」

 誰も向いていない以上、やりたいヤツがやればいい、とお父さんは肩をすくめた。

「あまり勧めないが、扉の開閉、メンテナンスには必ずしも特別な血が必要ではない。
 何かを行うたびに生贄を使い、生き血を全て絞り取る覚悟でやれば。
 フェアリーランドの最後の鍵のように、よほど細かい細工をしていない限り。
 実は、誰にだって扉は開くのだ」

「……」

「……そんな顔をするな。
 お前に、生贄を使うやり方は、教えない。
 せっかく代替わりをするのだ。
 もっといいやり方を考えている」

 言ってお父さんは、床から立ち上がり、ズボンについたホコリを叩くと、上着を止め始めた。
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