はだかの王子さま
「どちらにいらっしゃるんですか?」

 再び『星羅』に戻り、この広間から出て行こうとするお父さんに気がついたらしい。

 美有希が声をかけると、ふーーっ と息を吐いて、そのまとう空気まで『星羅』に染めたお父さんがほほ笑んだ。

「話は尽きず、名残惜しいけどね、ローザ。
 ここであまり、僕と二人きりでいると、王の心証を悪くするよ?
 王が来るまでは、僕の言うコトを全~~部聞いてくれた黒竜のソドニキュラエスも、今年こそは、ビッグワールドに帰りたいみたいだね。
 王が気まぐれに、こっちに来たとたん。
 彼の興味を引きそうな、面白いネタを探して、シャドゥ家の真似事をしているみたいだし」

 いきなり『星羅』になったお父さんに、美有希は一瞬、たじろいだように下がり……すぐに、いやいやと首を振った。

「……ソドニさまって『地』の最高位の方でしたはず。
 グラウェについて、かなり耐性をお持ちのようですが、それでも、長くこちらに居るのは辛い……ものなのですか?」

「……楽じゃないだろうね」

「それでも、あなたは真衣と共に、ここに残ると……?」

「そうだ」

 ちらっと素に戻り、断固として即答するお父さんを見て、美有希は、自分で自分の口を覆った。

「そんなにご苦労をなさるのは、やはり。
 ……真衣を愛してらっしゃるから……ですか?」

 美有希の質問に、お父さんが笑う。

「ああ、愛している。心の底からな。
 そして今、俺の『ヴェリネルラ』は真衣だ」

「……やはり」 

 そんなお父さんの言葉に、妙に納得した顔で美有希はうなづいた。

「都合上、父娘ということになっていても、血は繋がってませんし。
 亡き方の忘れ形見ともなれば、心中は複雑でしょう。
 でも、真衣とゼギアスフェルさまは、両思いじゃないですか。
 その仲を裂くべく、当初の企画では、わたくしにゼギアスフェルさまを落とさせるおつもりだったんですか?」
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