はだかの王子さま
 美有希の推測に、お父さんが素のまま楽しそうに笑った。

「……お前、何か誤解してないか?」

「え?」

「俺の愛した、たった一人はすでに『亡く』真衣は大切な『娘』だ。
 例え愛しい真衣でも、彼女の代わりには、ならないな。
 ビックワールドで『ヴェリネルラ(我が身より愛しい)』は至上の愛情表現だが、娘を持つ父親に聞けば、大抵。
 自分の娘を『ヴェリネルラ』と呼ぶ」

「……それは、そうなんですが……」

「真衣の恋人は、ゼギアスフェルだ。俺が入り込む隙間は無いし、邪魔をする気もない。
 お前が近づいても、絶対。
 ゼギアスフェルは真衣から離れはしないのが判ってたからな……いや、まったくお前に王が釣れてよかった」

「……最初から、わたくしの相手を『王』になさるおつもりでしたね?」

 そんな美有希の言葉に、お父さんは「……ははは」と、芝居がかった笑いで返し、次に少し、真面目な顔になった。

「それよりも、ローザ。お前のことだから、多分大丈夫だと思うが。
 万が一。
 王がお前を選ばなくても、やっぱり星羅に乗り換える~~とか言って刺激するなよ?
 最近、更に丸くなったとはいえ、真衣が絡むとゼギアスフェルは本気でキレるぞ。
 今回だって、大人しくハンドに捕まっていたのは、おそらく。
 不意打ちだった挙句、ヒトの高さの三倍以上の高い位置で拘束。
 移動が『空』だったからじゃないか?
 ヤツは高い場所が苦手だからな。
 地面に足がついた途端。
 ハンドを焼死体(けしずみ)に変える気、満々で殺気だったゼギアスフェルをなだめ。
 今まで培ってきた『友情』だの『信頼』だのを頼りに、ほとんど説明もせず、一旦勘弁してもらう、なんてことは、俺は、もう二度としたくない」
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