はだかの王子さま
 言って、お父さんは一瞬。

 本当に怖いものに出会ったかのように、自分の肩を自分で抱いた。

「今回初めて『ゼギアスフェル』の身体をコピーしてみて判ったが、彼の身体に飼っている炎の量は、半端ではない。
 ……こんな。
 生存本能を底から揺るがすような恐怖は、初めて0に出会って以来だ」

 星羅のことは、わかってたつもりだったが、それでもなお。

 過小評価してたな、とお父さんは、苦く笑う。

「さて、本物のゼギアスフェルが、自力で白薔薇宮殿の地下牢から出てくる前に、俺から詳細な説明をしておくべきだろうな」

 このまま放っておいたら。

 ヤツの一吹きでフェアリーランドは灰も残らず焼失してしまうかもしれないし、なんて。

 オソロシイことを簡単に言って、広間から出て行こうとするお父さんを美有希は、引き留めた。

「一緒について行ったとしたら……
 あなたが、本当は、何を考えて騒ぎを起こしたのか『真実』が聞けるのでしょうか?」

「……これから、王の恋人になろうとするひとが。
『父』とはいえ、犯罪者が捕らえられた地下牢に?」

 止めておいた方が良いと言うお父さんの言葉は。

 実は『真実は教えない』ってことだったのだけど。

 美有希は、別な所で身を乗り出した。

「やっぱり、わたくしを『娘』だと、言っていただけるんですか!?」

「お前が嫌でなければ俺は、娘だと思っている。
 これからゼギアスフェルと入れ替わる以上、ここで別れれば、もう、二度と会うこともなかろうが。
 ……こんな形でも、父娘は、父娘なのだろうから」
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