はだかの王子さま
 なんて、そんな。

 お父さんの言葉に、美有希はため息をついた。

「……わたくしは、色々と誤解をしていました……」

「ローザ」

 美有希の声にお父さんは、僅かに眉を寄せ。彼女は、それには構わずに言葉を続けた。

「わたくしの父は、ビッグワールド最大の扉の門番として、大切なグラウェの管理を司っているだけではなく。
 騎士よりも剣技に長けて、魔剣0を手中に納めた偉大な方だと伺っておりました。
 一方で、お役目に追われていると言う名目で、家庭を一度だって顧みない酷い父でございましたから。もっと賢く、そして冷たい方だと思っておりましたのに」

 美有希は、ため息と一緒に言葉をついた。

「……本当は、少しお莫迦で、とても、とても暖かい方でした」

 言って、深々と頭を下げる美有希にお父さんは、優しい顔でほほ笑んだ。

「さらばだ。
 俺のもう一人のヴェリネルラ。
 お前の進む道も平坦な道、とはいかぬだろうが、それでも。
 未来(さき)に光が満ち溢れていることを、心から願っている」

「父上……!」

 たぶん、もしかすると、泣いているのかもしれない。

 頭を下げたまま、顔をあげられない美有希を見納めるかのように、軽くうなづくと、お父さんは今度こそ、星羅の空気を身にまとって出て行った。



 
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