はだかの王子さま
 まるで、地球の太陽は、毎朝東から昇って、夕方西に沈むんだ、と教えているように。

 そう、淡々と答えるハンドの言葉に、美有希の顔がクシャッと歪むと。

 その瞳が、みるみるうちに新たな涙で溢れ出した。

『どうしょう!
 どうしょう、ハンド………っ!
 あたし、真衣を殺しちゃった……!』



 ああ。


 美有希が泣く。




 目を見開いたまま、もはや涙を拭う事を忘れ。

 泣き声さえも上げられず。

 大粒の涙をぼたぼた流してる。

 ああ、美有希。

 後悔してんだ……

 胸がつぶれそうなその泣き方は、遠くから眺めてるわたしにも、伝わる、ね。

 そんな美有希を見て、ハンドはやれやれと肩をすくめた。

『だから私は、最初から止めておけ、と申し上げたでしょうが』

 言って、今まで美有希の前では片膝をついたまま、微動だにしないハンドが、ぬっと立ち上がって低く声を出した。

『ひとの命が、どれだけ大切だってきちんと、身を持って判ったか、コラ』

『ハ、ハンド?』

 ハンドの豹変は、美有希も予想外だったみたい。

 その、妙に迫力のある低い声にびっくりして、大きく一歩跳び下がる美有希に、ハンドは、同じだけ近づいた。

『いいかい? 嬢ちゃん。
 あんたは、シャドゥ家の人間を、言われた仕事を正確にこなす便利に使える駒(コマ)程度にしか、考えてねぇだろう?
 だがな。
 こっちの方は、ガキの遊びじゃねぇんだぜ?』
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