はだかの王子さま
 美有希が跳びのいた分、ハンドは近づいた。

『フルメタル家は、昔。ビッグ・ワールド王を時々輩出する王族だった。
 そして、シャドゥ家は、獣以下と言われて迫害され。
 今でも、嫌う者が多い『虫』の姿を持つ人間の一族だ。
 ヒューマンアウトする時は、獣の一族でさえ毛皮を脱ぐのに!
『虫』は成虫になっても脱皮をする所が気持ち悪いのだと!
 毛皮と殻のどこが違うって言うんだよ!!』

 けっ、と、唾と一緒に言葉を吐いて、ハンドは改めて美有希を睨んだ。

『そんな、醜く、嫌われ者のシャドゥ家の人間を、フルメタル家の人間だけが、庇い続けてくれた』

 言って、ハンドは拳を握りしめた。

『フルメタル家は、俺たちを『ヒト』として生かしてくれるために、国を統べる王族から一介の貴族に身を落とし。
 自分たちの豊かな領地の三割を国に返してまでも、俺たちの住む場所を守った』

 ……それが、俺たちの一族に取って、どれだけ嬉しかったことだか、判るか?

 ゴミのように扱われて、地上を追われ、虐げられていた俺たちに。

 フルメタル家は、ヒトとしての誇りと、生きる希望、そして住む家を保証してくれたんだ、とハンドは言った。

『だからな、嬢ちゃん。
 俺たちシャドゥ家は、フルメタル家にすげぇ恩義を感じてる。
 お国の方針で、どこん家がビッグワールドの王になろうとも、シャドゥ家が唯一、自分たちの主と認め、忠誠を誓うのは、フルメタル家で。
 ここの当主の言葉なら、どんな無茶な頼みでも喜んで聞く。
 ……だがな。
 俺たちにだって、感情があるんだ』

 そう言って、ハンドは、美有希を見た。
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