はだかの王子さま

『YES』だ。

 ……わたし。

 本当の両親に殺されかけた、要らない子、だった……!?



 そう考えると、とても辛かった。


 ショックでそのまま、半身を起こしてたベッドに倒れかけた所を、星羅に支えられる。

「真衣を害そうとしたのが、前王の可能性もあるけれど。
 ビッグワールドには、他に王に意見出来る身分の高い者は、一人居る。
 万能エネルギー『グラウェ』を管理する神官長だ。
 もしかしたら、そいつが、真衣を狙ったかもしれない」

 グラウェの神官さんに恨まれる覚えなんて、無いけれど……

 それは、きっと、星羅の優しさだった

 前王と一緒に命を落としたお后さまが、神官の一族である以上、全く他人とはいえないけれど。

 わたしの命を狙ったのは、たぶん両親じゃない誰かだよって。

 星羅は、わたしを慰め、ぎゅっと抱きしめる。

「それでも、万が一、真衣の家族が。
 ビッグワールドともこっちの世界の二つの世界の、全員が。
 真衣をいらないと言っても、僕には、絶対真衣が必要だから」

 その言葉に嘘は無く。

 どんなことがあっても真衣とは離れたくないよって、抱きしめてくれた星羅の腕から、優しく。

 強く。

 あったかい心が染み込んでくる。

 ああ、このヒトなら何者からでも、どんなことからかも、守ってくれるんだって思った。

 安心感が、たまらく嬉しかった。

 星羅。

 星羅……。

 大好きな、星羅。

 彼のハグに、わたしの方からもそっと応えて抱きしめ返せば。

 星羅は『あー、こほん』と照れたように咳払いをした。

「……こんな、大変な時に悪いんだけどね」

「なあに」

「そんな表情(かお)で抱きしめ返して来られると……その、かなり、クる」

「くる?」

 なんとなく。

 星羅は、言葉を選んでいるらしいんだけれど、ワケの判らない言い方にクビを傾げれば。

 星羅は、苦く笑って、わたしの髪を一筋すくうと、その先端にキスをした。

「要するに、萌えるって言うか。
 変なスイッチが、入りそうって言うこと。
 特に、ここはベッドルームだし。
 君の服は、そんなに薄い、寝巻きだし。
 ……これで、肌に口づけでもしたら、完全にアウトだ」

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