はだかの王子さま
 大事な命令を無視して、勝手に出て行ったもんだから、王様は、かんかんに怒った。

 もう、二度と帰って来るな、と、お父さん自身も正式に追放したらしい。

「追放されても、お父さんがこっちの世界と向こうの世界をつなぐ門番って言うお役目してるの?」

 罪人で、追放中なのに?

 って、クビを傾げるわたしに、お父さんは肩をすくめた。

「今の所、俺しか門番出来るヤツがいねぇからな。
 でも、他人で代行出来る仕事については、捕られたものもある……たいしたことは無いがな」

 他にどんな仕事があったのか。

 お父さんは、そんなに惜しそうな感じをしなかったけれど。

 星羅は『悪かったね』って少し視線を下げた。

「フルメタルファングは、優しいからなぁ。
 しかも、僕のドコが気に入ったんだか。
 身分も名ばかりで、他について来る者もいない。
 何の得にもならない、僕に付き合ってくれたんだ」

「優しい? 俺が?」

 思い切り、イヤそうな顔をして、お父さんが睨んだ。

「俺は、ただ我儘な現王が大嫌いなだけだ。
 別に、桜路だって、特別気に入っているわけではない」

「またまた……照れちゃって。
 大事な娘を心良く、お嫁さんにくれるぐらいには、気に入ってくれているくせに」

「桜路!」

 踏もうとするお父さんの足をひょい、とよけて、星羅は笑う。

 さっきまでの悲しそうな表情から、一転。

 くるくると良く変わる星羅の表情を横からこっそりと眺め。

 だいたいの話を聞き終えて、わたしはため息をついた。

「なんだ……そか」

「「真衣?」」

 聖羅とお父さんの心配そうな顔にわたしは、笑った。
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