はだかの王子さま
「でも!」

「僕は、自分の刺客をかわしながらいつもの仕事をするほか。
 二つの世界をつなげるために、一般客には秘密の式典(セレモニー)をフェアリーランドの地下でしなくちゃいけない。
 フルメタル・ファングも、向こうとこちらの門を実際に開く門番だからね。
 通常業務のほかに、門の作動調整で忙しい。
 その点、シャドゥ・スパイダーならいい」

「へ? シャドゥ……って、誰ソレ?」

 聞き慣れない名前に眉を寄せれば、星羅はあっさりと言った。

「守野賢介。
 そこにいる、君の幼なじみだよ」

「ええええっ! ウソ」

 信じられない事実に驚けば、星羅は淡々と言った。

「彼は、代々王家ではなく、フルメタル家に直接仕え、影でビッグ・ワールドを支える『忍び』一族の長の息子だ。
 しかも、賢介はフルメタル・ファングの直弟子だからね。
 一人前になるまで、決して師匠を裏切れない『魂の契約』をしてる。
 どんなに真衣が魅力的でも、絶対手を出さない、守野賢介以外の男は、信用できないんだ。
 別の意味でも真衣が危険になるからね」

 賢介ん家が実は、忍者の一族!

 しかも、賢介、シャドゥ・スパイダー!!

 お父さんが貴族で門番のフルメタル・ファング、って聞いた時も驚いたけど。

 これを聞いた途端。

 何だか、急に変な実感がわいて、足でしっかり踏みしめていたはずの『現実』が、がらがらと崩れて落ちた気分になった。

 なんか、とんでもないことの真っただ中に、わたしは、いるんだ。

 自分だけが何も知らないまま、映画や、小説の中みたいな壮大な物語が現在進行形で、動いてる。


 こんなときは、やっぱり。


 従うしか、ないのかな……?
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