傷だらけのシンデレラ

「ありがとな、夢」


あたしはその言葉で心の中の糸が緩んだ。

そしたら自然と涙が出てきた。


「っゆ・・い、あたしはね・・ひっく
 結衣っていうんだ・・」


あたしは泣きながら翔に言った。


「結衣・・・泣くなよ。
結衣の覚悟、すげー嬉しかったよ。
あと俺は、偽名じゃねえけどな(笑)」


「別に隠すつもりとかなかったもん、
 ほんとの名前いうタイミングがなかっただけ!(笑)」


この時間が、すごく幸せだった。


「俺な、友達が銀細工やってんだよ。
それで昔に「女ができたら渡せ」って
言われて貰った指輪があるんだ。
結衣、はめてくれるか?」


もうこれ以上の幸せなんてないくらいに幸せだと思った。



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