ハチミツ×シュガー



 彼女をエレベーターの中に引きずり込んで、壁に押しつけた。



「そ、んなつもりじゃ…」


 彼女は怯えた顔ではなく、目を見開いてビックリした表情。



「はぁ…。 あのさぁ、多分アイツら、高校の時からお互い想い合ってたぞ」


 掴んだ手首を放すと、そっと彼女の方から手を繋いできた。
 その行動に内心ドキドキして彼女を見下ろすと、


「…私が心配なのは皇じゃなくて、洋子ちゃんだよ?」



 柔らかく、でも恥ずかしそうに微笑みながら言ってきたアイツに…



「――分かってるよ」



 ぶっきらぼうに答えるしか出来ない俺。




「ふふっ 早くお家帰ってご飯食べたら、DVD見ようね?」


 エレベーターが目的の階に着いた。

 彼女はすぐさま降りて、手を繋いだまま、部屋の前まで俺を連れて行く。



< 645 / 771 >

この作品をシェア

pagetop