ハチミツ×シュガー



「あの――」


キーンコーンカーンコーン…



「え、と……この話は後で、ね?」


 助かったと心の中で喜んで、何とか誤魔化しながら教室に入った。
 真弓は納得してない顔で、後ろに続く。


 途中、斉藤くんが声をかけてきたけど……正直、それどころじゃない。

 真弓と私は無言で席に着いた。




 先生が来るまでの時間。

 私はほんの出来心で…西城くんを盗み見てしまった。



 彼は隣の席の女子に話しかけられ、かなりうんざりした顔をしてる。

 そんな中、前の席の男子がふざけ始めたのを見て、笑ってる。



 さっきのは夢だったのかな…?

 なんて思い始めた時――。




 西城くんが、私の視線に気付いた。



 気付かれるなんて思ってもなかった私。

 アタフタしてる私を見て、西城くんは柔らかく微笑んだ。



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