Only One



木下の心をひとり占めしたい。

他の女なんか見ないで。

私だけを見て。

あなたの事を分かっているのは私だけなの。

あんな女なんかに渡してたまるか。


――でも、

あなたを傷つけたりしない。


傷付けるのは――あの女だけ。


『それは違うわ…。全部、私が木下に指示したの。木下が動くと、あなたたちにすぐ目をつけられるから、あの女の居場所も、あの女を守ってるあんたたちのことも、私が調べて、私が――木下にあの女を誘拐させたのよ。』

「っ――なんでッ」

『だって!…柊斗は私のものだもの。だれにも渡さない。だから…あの女が大好きなあなたたちをわざと傷つけて、あなたたちを餌にして、誘拐した。今頃、柊斗の下で鳴かされてるんじゃない?』

「…っ、お前――っ!」


開き直ったように、事の真相をペラペラと喋り出した戸田に、殴りかかろうとした郁人を、周りが止めに入る。


「ふざけんじゃねぇ!お前に、芹那ちゃんがいつ、何したって言うんだよ!アイツが芹那ちゃんが惚れてたからなんて理由で、お前が芹那ちゃんを傷付けてもいいことなんかねぇんだよ!好きだったならなぁ、自分の内面で勝負しろってんだ!」

「兄貴…。」


くそ…っ!と、嘆きながら自分を抑え込む手を阻んだ郁人は、近くにあるソファに身を沈めた。



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