規則の守護者
「人は規則を破るものさ、お嬢ちゃん」


峰岡はそう言って、年季の入った目を細めた。


「規則を破らないと、人は生きていけないのさ。

みっちりと、決められた通りに、清く正しく……

それじゃ、気が狂うよ。

適当な所で、息を抜かなきゃいけない。

で、規則破りは、そりゃあ、いい息抜きになる。

皮肉なことにね、規則は、決められたからこそ破られるのさ」


瑞緒は、しかめっ面をしている。


「俺は、銃の売買をやめないだろうね。

これからも、ずっとさ。

でもそれは、俺に限ったことじゃない。


人は規則を破る。

絶対に、永遠に。


違反者がいなくなるのは、この世から規則が消えた時か、もしくはこの世から人が消えた時さ」


そこまで悠長に話して、峰岡は息を吐いた。


「俺を撃つか?」



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