規則の守護者
瑞緒は答える。


「武器を持っていない以上、撃たないわ。

でも、あなたが違反を繰り返すなら、話は別。

違反すると分かっている人を、放っておくわけにはいかない。


でも、あなたの論理を採用すれば、私は全ての人を撃たなくてはならないわね」


瑞緒は、無表情にそう告げる。

峰岡は首をすくめた。


「まあ、違反を見逃せとは言わんさ。

こっちだって、悪いってことは百も承知なんだ。

見つかっちまった以上、お縄につくのも仕方がない。


煮るなり焼くなり、あんたの好きにするといい」


瑞緒は峰岡を睨む。


「私、あなたが嫌いだわ」


峰岡は笑った。


「嫌いという理由では、君は撃たないだろう」


瑞緒は無言でうなずき、表情を憮然とさせたまま、茜へ声をかけた。


「茜。
銃器を回収して。

それから監視班全員に連絡して、徹底的に施設内の武器を回収・破壊するわよ」


はい、と茜がうなずく。

瑞緒は峰岡を見据えて、告げる。


「とりあえず、私はここから武器を消す。
そうすれば武器所有違反はできないわ。

決まりを守った上で、あなたの生きやすいように生きることだって、できるはずよ」


峰岡はただ、笑っていた。



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