規則の守護者
取引現場にあった銃を抱えて、瑞緒と茜は詰め所へと並んで歩く。

真っ暗な夜道に、街灯の光芒が眩しい。

冷たい風に頬を冷やされ、茜はぽつりとつぶやく。


「高井さん。

僕……撃てませんでした」


瑞緒はただ、そう、と吐息のような声を洩らした。


「すみません。
あれだけ、撃つって言ってたのに」


情けなさそうな茜の謝罪に、瑞緒は首を横へ振る。


「別に、撃たなくていいのよ。

違反がなくなれば、……規則が守られて、皆が幸せになれれば、それでいいの。

あなたは、よくやったわ」


初めての、ねぎらいの言葉。

茜は、目頭が熱くなるのを感じた。



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