子猫が初恋提供します。
「にゃあー。…逢いたかったー。」
「………。」
そんなことをまるで知らない夜が今日もあたしの前に現れた。
もうなんか日課になってきてるな…。
ふ…と、遠い目をして思う。
「ん?またスリッパなのか?どうしたんだ…?シューズ…」
あたしの足元に素早く気づいた夜が眉間にしわを寄せた怪訝な顔になる。
「こ…これは…」
言いよどんでいるとガタリと音を立てて、蓮がキツイ目をして立ち上がった。
「これはそもそもあんたの……!」
「蓮……!!」
あたしは慌てて蓮の腕を引いた。
情けない顔で自分を見つめるあたしを見て、蓮が大きな溜め息をつきながらまたどかっとイスに座った。
「俺…?」
「なんでもないよ!
…また忘れたの。」
不思議そうな顔をして瞳を瞬く夜の前でぶんぶんと両手を振って誤魔化した。
それに蓮が何か言いたげな顔であたしを見ていた。
だって…
夜のせいって言ったって…夜に悪気はないから…これで責めたりは出来ないよ。