子猫が初恋提供します。




「にゃあ?」



少し驚いたような夜の手をグッと掴んだ。



「ダメだよ…!みんな…夜が好きなんだよ?

こ…こんなのはよくないけど、でも夜が好きだから……!我慢出来なかったんだよ!」



必死に訴えるあたしの顔を、夜はきょとんとした顔をして見下ろしている。



「何が?今までもなんも興味なかったけど、俺はにゃあを傷つけるやつらはキライ。好かれても嬉しくねぇ。」



夜は不思議で堪らないとでも言いたげに、そうはっきり言い放つ。



女の子達からまたすすり泣く声が聞こえてくる。



「あ…あたしもよくはわからないけど、

…でも!好きって…そんな無視していい軽い気持ちじゃないよ…!!

夜は…大好きな人に心の中のいっぱいの好きを知らんぷりされたら…悲しくないの…?

夜だったらって、考えてみてよ……!?」



「………!」



詰め寄るあたしの顔を見て、夜の瞳が大きく見開かれる。



黒い瞳が、揺れていた。







< 66 / 256 >

この作品をシェア

pagetop