神の森


「そなた、神の声が聴けるのか」

 驚愕の表情で、榊原冬樹は、祐里の前に現れた。


 昨夜遅くに兄・春樹の娘が着いたと聞かされていた。

 その娘が朝の見回りをする冬樹の前に現れて、神の森と対話していた。



「おはようございます。冬樹叔父さまでございますか。

 お初におめにかかります。桜河祐里と申します」

 祐里は、深々とお辞儀をしてから、ゆっくりと冬樹をみつめた。


(冬樹叔父さまは、お父さまに似ていらっしゃるのかしら)

 祐里は、冬樹の中に父の面影を見ようとした。

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