誰よりも愛する君へ
〜出会い〜
「ねぇ、ハル彼氏ほしくない?」

新学期。

まだ学校の前の並木がほんのりと春の匂いを漂わせていたころ親友の美加がそんなことを言いだした。

「そりゃ、欲しいけど・・・捺くんみたいな人が・・・」

捺くんとは美加より二つ上の彼氏。現役のバリバリヤンキー。でもヤンキーだから恐いなんてことはなくて「こんなヤンキーいるんだー」なんて思ってしまうくらいの穏和な男性だった。
「捺はあげられないけど、それなりにカッコイイ人なら知っているんだよね」

そう言って美加は怪しげな笑みを浮かべた。

「何かあるでしょ?」

「うふふ。教えて欲しい?」

「カッコイイなら?」

アタシがそう言うと美加は急に困った顔をして、

「実はさぁー今日、捺ん家にその子が来るんだけど・・・何んか凄いグレとる子なんよ。だから・・・ハル、お願い。一緒に来て!」

美加はそう言って手を合わせた。

「はぁ〜、しょうもない子やなぁ。一緒に行ってまげましょう」

そう言ってわざとぽく溜め息をつくアタシに美加は勢いよく抱きついた。

「ほんとに!ありがと!ハル大好き!」

美加は最後にギュッてアタシを抱きしめると急に立ち上がって、
「そうと決まったら捺ん家にレッツゴー!」
と叫んだ。

美加は自分のギャップに唖然とするアタシを無視して鞄を片付けはじめた。


「ハル!早く行こっ!」

と言う声が後ろからして、ハッと我に帰ると二人分の鞄を両手に提げた美加が立っていた。
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