誰よりも愛する君へ
「じゃあまず始めに自己紹介をしてもらいまーす」
「なんでわざわざ・・・」
優斗さんの文句が聞こえる。
「俺はみんなから愛されてる。白木捺!」
「私は捺の彼女の伊藤美加!」
「俺は捺のダチの星野優斗。あと、捺のことは愛してないから」
とうとうアタシの番。
「アタシは・・美加の友達で・・・。大倉春です。」
「じゃあ、一人を除いてちゃんと自己紹介したので、飲みますか!」
捺くんの掛け声でみんな飲み始めた。
優斗くんはしゃべるってみれば恐い印象なんて嘘みたいでとても優しかった。
「ハルちゃんって意外と酒強いんやね」
「うーんそうかな?ってか、ハルでいいよ」
「じゃあ、俺は優斗でいいよ」
「うん」
「なぁ、ハルはこんな時間に帰って親怒らん?」
そういえば今何時?
そう思って時計を見る。
時計は既に午前2時を指していた。
「親は怒らんけど、もう帰ろうかな」
「じゃあ、俺も居場所ないで帰るわ」
そういって優斗は、捺くんと美加を指差した。
二人はうちらの存在なんて眼中に入っていないようだった。
「美加、帰るね」
美加の気付かない間に帰るの気が引けて一応声だけは掛けておいた。
玄関を出ると寒さに身震いした。