誰よりも愛する君へ
優斗は市の総合病院に入院していた。

捺くん慣れた様子でエレベーターのボタンを押した。

美加はアタシの手をずっと握っていてくれた。


「ハル、この部屋やよ」

「・・・うん」

「怖い?」

「・・・うん。ちょっと」

そう言って、アタシはあいまいに笑った。

「大丈夫やで」

捺くんは優しく笑う。

アタシは何度この笑顔に助けられて来たかな。

捺くんがドアをノックする。

「どうぞ」

って声が中から聞こえると美加がアタシの手をギュッて握った。


ガラガラ------

真っ白に塗られたドアがゆっくりと開く。
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