誰よりも愛する君へ
アタシがそう言って目を閉じると優斗の動きが止まった。

「優斗?」

「・・・・・・・・ハル・・・苦し・・・い」

優斗がアタシの手を強い力で握った。

「優斗!?」


アタシは急いでナースコールを鳴らした。

「どうしました?」

「優斗がっ・・・・優斗が!!」
優斗は胸元を押さえ込みながらハァハァと息をしている。

「優斗!!」

アタシは優斗の手を握りながら叫んだ。

「どうしました!?」

看護師の女の人が焦り気味に部屋に入ってきた。

パニックになっているアタシを見ると状況を察してナースステーションに連絡を取った。

アタシはあっという間に優斗から離されて部屋の外に出されてしまった。

廊下の長椅子にアタシは力無く腰掛けた。

しばらくすると優斗の担当らしき看護師さんがアタシを呼んだ。

狭い部屋に入るとアタシに椅子に座るように言った。

「はじめまして、優斗くんの担当をしている村瀬です」

「貴女は優斗くんの彼女かな?」

「はい・・・」

「じゃあ優斗くんの病気も知ってるんだね」

「はい・・・」

「優斗くんの体は今、とっても危険なの」

村瀬さんはじっとアタシを見つめる。

「はい・・・」

「少し脈拍が上がっただけでも大きく影響するわ。またこんなことがあったら・・・。もしものことだって有り得るわ・・・・・・・・」
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