誰よりも愛する君へ
「あぁーバレバレやで。顔に書いてあるがな」

「『彼氏がおります』ちゅーうてっ」

「えっ!」

アタシが慌てて顔を触るとみんなが一斉に笑った。

「でも、怪我でもしてみえるの?」

「うーん、病気かな」

「何の病気やねん?病気によっては俺の担当かもよ」

「えっ。お兄ちゃんここに勤めっとたっん!!」

「おぉ!つーか自分の兄貴の仕事先くらい覚えとけ」

「はーい」

アタシは優斗のことを言いたくなかったから気付かれないように話題を変えた。

お兄ちゃんは病院の前に横付けしてくれた。

「お兄ちゃんありがと」

「おぉ!帰りは電話しろよ」

アタシは車を降りると足早に病室に向かった。



コンコン-------

「どうぞ」

アタシは返事よりも先にドアを開けた。

「優斗ー!」

「おぉーハル!」

どうやら優花さんはいないようだ。

アタシは優斗の胸に飛び込んで行った。

「今日は積極的だね。他の奴は?」

「面会の許可が下りた!」

「マジ!?」

「うん」

アタシが大きく頷くと優斗はギュッと抱きしめてくれた。

病室でキャッキャッとじゃれているとドアをノックする音が聞こえた。
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